一口馬主の様子を、一頭の馬の成長目線から

プルーヴダモール(父チチカステナンゴ、母プルーフオブラヴ)が、3月24日付で引退。写真は、下手なのでピンボケですが、2016年2月20日東京パドック周回中より。

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戦績は14戦2勝。新馬戦の小倉芝1200m(11頭立て)と、障害転向後の小倉未勝利戦 2860m(9頭立て)の2勝だけでしたが、その成長過程と戦績は、私にとても良い経験をさせてくれました。

 

平地新馬戦を勝った後、1-0-0-5の戦績で二桁着順が続いたこともあり、2015年11月から障害へと転向になった。その様子を、成長させてくれた森一馬騎手のコメントと共に振り返ることで、なにか伝えられたらなぁ・・・と思います。

  

※※なお下記内容に関してはシルクホースクラブホームページ掲載の情報であり、転載許可を得ております。

 

まずは、障害練習初日の様子を。初日から森一馬騎手が跨がってくれました。

2015年11月19日

西園調教師「昨日から森騎手に跨って貰い、障害練習を開始しています。(…中略…)このまま進めて行きたいと思います」

 

そして障害試験合格の一報と、森一馬騎手からの初コメント。そういえばプルダモちゃん、けっこう反抗気味だったよなぁ。

2015年12月3日

西園調教師「障害練習も順調に行えていたので、今朝(3日)試験を受けたところ無事合格いたしました」

 

森騎手「練習を開始した当初は人に従順でない所を見せていましたが、日を重ねる毎に信頼関係が生まれたことでこちらの指示に従ってくれるようになりました。少しハミを噛んで行く素振りを見せる所があるので、出来るだけ併せ馬をして障害練習を行って改善を図りたいと思います」

 

森一馬騎手は、3月に放送された矢作麗さんの「競馬と趣味と僕と~ホースマン探訪」でもお話しされていましたが、とても丁寧に馬に接するのだなぁ・・・と思っています。

 

2015年12月16日

森騎手「先週と比べると大分掛かる面もましになっていましたし、こちらの指示に従ってくれています。障害飛越に関しては全く心配ないので、実戦に行って上手く折り合って走ってくれるようなら最後まで頑張ってくれると思います。初戦ですし、自分のリズムを崩さない様に競馬をしたいと思います」

 

そして迎えた、障害初戦。2015年12月20日の中京4R。14頭立て9番人気で8着でした。好スタートを決めて一旦ハナに立ちましたが、8着に押し上げたところでゴールしています。

森一馬騎手「初障害でしたが飛越はしっかりしていましたし、折り合いも付いてスムーズに運べました。手足が軽く、小脚を使えるので、踏み切りは安定していましたね。初めてということで若干力みがありましたが、これから息の入れ方を覚えてくれば、最後はもっと脚を使えるようになるでしょう。3000mという距離を走るのは初めてのことですし、8着とは言え及第点を付けて良いと思います」

 

2016年2月5日のメールには、なんと障害2走目で関東遠征の予定!見に行けますよ、東京ならば!

次走予定:東京2月20日 障害競走・ダート3000m[森一馬]

西園調教師「今日(5日)の検疫で帰厩いたしました。(…中略…)前回騎乗した森騎手と次走について相談したところ、東京2月20日の障害競走・ダート3000mなら騎乗できるとのことなので、そこを目標に進めて行こうと思います。

調教後の森騎手のコメント。

2016年2月11日

森騎手「昨日は久々とあって少し気持ちが張っていましたが、今日は落ち着いて練習することが出来ました。低い障害だと余裕から遊びながら飛越していますが、大きな障害だとしっかり集中してくれるので、実戦に行って良いタイプですね。初戦の内容が悪くなかっただけに、次走はもう少し積極的な競馬をしたいと思っています」

 

2016年2月17日

森騎手「先週の追い切りの動きが少し物足りなく感じていたので、今朝は長めから少し時計を出しました。テンから意識的に仕掛けた分、終いは時計が掛かってしまいましたが、折り合いを欠いていた訳ではありませんし、確実に動きは良くなっていたので、理想通りの追い切りが出来ました。障害飛越に関しては特に注文を付けるところが無いので、スタミナを出来るだけ維持しながら積極的な競馬を心掛けたいと思います」

 

障害2戦目。2016年2月20日の東京4R。初めて見るプルーヴダモールです。写真をもう一枚。 

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 その日の様子は、こちらに。

pertsovka.hatenablog.com

 

14頭立ての8番人気で、スタートで出遅れたものの行き脚は良く中団を追走、結果は6着でした。

 

森一馬騎手「ゲート内で横を向いて直そうとした時に、タイミング悪くゲートが開いて出遅れてしまいました。それでもその後は行きっぷりが良かったですし、飛越もスムーズでしたので、無理することなく先行集団に取り付くことができました。一度経験して障害の息の使い方を学習してくれたようで、良いポジションをキープしたままスムーズに運べました。(…中略…)勝負処で少し置かれてしまったのですが、それでも最後まで諦めずに頑張ってくれました」

 

その後も9着8着6着と成績は奮いませんでしたが、森騎手が時間をかけて調教してくれている様子が伝わってくる内容のメールが続きました。

この記事から引用です。

 「平地であまり成績を出せなかった馬でも、障害でものすごく走ったりすることもある。棒をまたがせるところから、すべての調教を自分でつけるんですよ。最初は棒すらまたげなかった馬が、次第に大きい障害を飛べるようになり、レースへとつながっていく。そんなところが楽しいんです」

 

残念ながら7月下旬の調教で落馬による負傷があり、騎乗できない状況となりました。ここで植野貴也騎手へと乗り代わりです。

そしてついに、この日が。障害練習を始めて10か月。ほぼ森一馬騎手が育て上げてくれたと言っても過言ではないでしょう。

2016年8月7日の小倉4R。9頭立て5番人気でした。断然1番人気1.4倍のゴッドフロアーのいたレースでしたが、スタートを決めて一旦ハナに立ちました。先頭を窺いつつ2・3番手を追走、2周目向正面なかばで先頭に立ってスパートを掛け、最後の飛越も無難にこなして後続を振り切りました。

 

植野貴也騎手「調教で一度跨らせていただきましたが、飛越は本当に上手でしたし、レースでも飛越する毎に一歩リードするぐらいでしたから、乗っている側としてもとても安心してレース運びが出来ました。ゲートを出て少しの間は掛かり気味に走ってしまったものの、すぐに落ち着いて自分のリズムで走ってくれました。2着馬に終始絡まれる形になってしまいましたが、リズムを崩さず走ってくれましたし、最後まで危なげないレースをすることが出来ました。コース形態も合っていたのかもしれませんが、森騎手が時間を掛けて調教してきたことが漸く実になってきたのかもしれませんね。良い時に乗せていただきました」

 

西園正都調教師「1番人気の馬が早々と脱落したことが有利に働いたと思いますが、運だけではなく、レース内容がかなり上達して強い競馬だったと思います。(…中略…)植野騎手がテン乗りでも上手く騎乗してくれたこともありますし、障害練習を始めてから森騎手が一生懸命調教を付けてくれたことが、今になって結果に表れてきているのだと思います。」

 

競走馬として生まれてきても、勝ち上がるのはほんの一握り。重賞勝利なんて夢のようで、無事出走することだって難しいことがよくわかりました。一口といえども馬主という競馬の視点は、こういうものなのかなぁ・・・と感じています。

屈腱炎を発症し引退(乗馬となる予定)となりましたが、頑張って走り切ってくれてありがとう。

 

 申し込みを決めた時2014年5月の心境は、こちらに。

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